ワイキキにキャッキャするのに飽きてきたら、古代ハワイの神話や歴史に思いを馳せるのも良いかもしれない。
フラを習っていると、古代ハワイの人々の、海、山、滝、草花などの大自然に対する畏怖の念を学ぶ。
日本にも八百万の神という古くからの信仰があり、神社という形で今も身近に残っているように、古代ハワイ神話にも、キラウエア火山の女神ペレや、その愛人の豚の神カマプアアなど、実にユニークな神が登場する。
今回は、そんなハワイの神々を信仰する古代ハワイの人々が築いた神殿があるという、「ウルポ・ヘイアウ」へ行ってみることにした。
前回の記事はこちら↓

聖地ウルポ・ヘイアウ(Ulupo Heiau)の伝説と歴史
そもそもヘイアウ(Heiau)とは
「ヘイアウ」は古代ハワイ人が様々な宗教的儀式を執り行った祭祀場のことを指す。
上記の絵のように、石を階段状に積み上げた舞台のような形状をしていたと言われている。
ヘイアウはハワイの各地に存在し、カイルアにもこの「ウルポ(Ulupō)」を含めて「パフキニ(Pahukini)」、「ホロマカニ(Holomakani)」という3つのヘイアウがあるという。
また、ヘイアウによっては豊穣や出産を司るものから生贄を捧げて戦いへの勝利を祈るものまで、様々な種類のものがあるらしい。
ヘイアウは現在でもハワイの人々の神聖な場所として大切に守られており、特に”KAPU(禁忌≒立ち入り禁止)”という看板が立っていたら、そのヘイアウには立ち入ってはいけない。
マナ(神聖な力)に対する畏怖から生まれた、ハワイを含む太平洋文化圏における絶対的な戒律。
これを破った者は死をもって償わなければならなかったという。
ウルポ・ヘイアウ(Ulupo Heiau)の概要
ウルポ・ヘイアウ(Ulupo Heiau)の場所
ウルポ・ヘイアウはホールフーズの前を通るカイルア・ロード(Kailua Rd.)を南西ホノルル方面へ向かう途中にある。
ホールフーズの前から1.4マイル(約2.3km)、車なら4分で着く距離だ。
徒歩だと30分、自転車なら10分で着くが、途中が結構長い上り坂が続くので、気合いを入れて向かった方が良い。
私達は自転車で向かったが、右手に広大に広がるカワイ・ヌイ湿地の絶景を見渡すことができた。
ウルポ・ヘイアウ(Ulupo Heiau)の外観と大きさ

File source: http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Oahu-Kailua-Ulupoheiau-gardenview-of-platform.JPG
ウルポ・ヘイアウはオアフ島のヘイアウの中でも最古の聖地と言われている。
その石積みの底面は140×180フィート(≒ 42.6m×55m)、高さは9.1mで、正面に北極星を臨むように建てられているそうだ。
また、この底辺と高さの数字も重要な意味が隠されているらしい。
ウルポ(Ulupō)とは、”Night of Inspiration(宵の閃き)”を意味する。
ウルポ・ヘイアウ(Ulupo Heiau)の伝説
伝説の小人メネフネが一晩で築いた神殿
出典:Anicient Origins : The Menfune of Hawaii
※上記サイトで画像をお借りしたのだが、悪質なサイトが立ち上がるリンクが仕込まれていて危険だったので、止むを得ずリファラーは付けなかった。
何故ウルポ(Ulupō)、”Night of Inspiration(宵の閃き)”と名付けられたのか?
それは、この神殿が伝説の小人メネフネ(Menehune)によって一晩にして築き上げられたという伝説から来ている。
伝説の小人メネフネ
“メネフネ、とは、カウアイ島に住んでいたといわれる小人族のことです。
身長は普通の人間の半分くらいしかないが、筋骨隆々とした人々であったということです。彼らは、森に住み、昼間眠って夜働く、という習慣を持っていました。また、性格はとてもシャイで、滅多なことでは人間にその姿を見せることはなかったと言われています。
また、彼らは土木工事に関して大変に秀でた技術を持っており、たいていの建造物は「一晩で」作り上げてしまいます。(靴屋の小人みたいですね。ただ、一晩で間に合わなかったときはそのまま放置して去っていくらしいですが)カウアイ島には彼らが作ったと言われる道路や水路、養魚池などがいくつか残っています。”
出典:ハワイの神話と伝説より
この伝説の元になっているのは、6世紀頃にカウアイ島に移住して来たハワイの先住民「マナフネ」のことではないかと言われている。
「マナフネ」とはタヒチ語で身分の低い人々を指す蔑称で、ハワイに一番初めに移住して来たマルケサス島の人々を、後からやって来たタヒチ島人が弾圧し、こう呼んでいたのではないか、ということである。
カワイ・ヌイ湿原の守護神ハウヴァヒネ(Hauwahine)
ウルポ・ヘイアウに立っている案内板によれば、もう一つ言い伝えがある。
それは、カワイ・ヌイの守護神と言われている女神ハウヴァヒネが、カイルアに住む人々を守り、カワイ・ヌイ湿原で捕れる魚の豊穣をもたらしていた、というものである。
ハウヴァヒネは巨大なトカゲの女神で、時には美しい女性の姿に代わることもあるという。
ウルポ・ヘイアウ(Ulupo Heiau)の歴史
実際のところ、このウルポ・ヘイアウの建設には膨大な労力が費やされたようだ。
メネフネ達によってクアロアの石から建設されたウルポ・ヘイアウ
実際にウルポ・ヘイアウが建立されたのは10世紀だったと言われている。
ウルポ・ヘイアウを建てる場所は、当時の首長と神官によって慎重に見定められ、メネフネ達は16kmも離れた神聖な地クアロアから石を運んで来てウルポ・ヘイアウを建立した、と言われている。
↓オアフ等の王族に最も神聖な地として崇められていたクアロア
出典:Risvel 古代から伝承するクアロアの伝説と神話6選より
※ちなみに、上の画像のクアロアにある古代の養殖池(モリイ・フィッシュポンド)もメネフネ達の手によって一晩で築き上げられたという伝説があるらしい。
平和と豊穣を祈るマプア・ヘイアウの時代
ウルポ・ヘイアウは1400年代、オアフ島の15代目の大首長カクヒヘヴァの治世からヘイアウとして重要な地になった。
カクヒヘヴァの代では、ウルポ・ヘイアウは平和と豊穣の神ロノを祀った農耕のためのヘイアウ(マプア・ヘイアウ)だったと考えられている。
このため、ウルポ・ヘイアウの周りにはタロイモやバナナ、サトウキビなどが植えられ、カワイヌイの沼では魚が養殖された。
戦勝祈願のためのルアキニ・ヘイアウへの変貌
1600年代後半、19代オアフ島の大首長クアリイの時代に、ウルポ・ヘイアウは戦いの神クーを祀るルアキニ・ヘイアウへと変貌してしまう。
ルアキニ・ヘイアウの儀式はマプア・ヘイアウよりも厳格で、戦勝祈願のために動物や人間の生贄が捧げられる、血生臭い場所となってしまった。
KAPU(カプー)の廃止により、放棄
1819年、カメハメハ2世の時代に、絶対的な戒律カプー(KAPU)が廃止された。
これに伴い、ウルポ・ヘイアウは放棄され、廃れていったとされている。
1970年代、ハワイアン・ルネッサンスの到来により復活
1970年代、ハワイアン・ルネッサンスにおいて、古代ハワイの精神世界への興味が高まり、ヘイアウは再び聖地として尊重されるようになる。
それにさきがけ、ウルポ・ヘイアウは1962年に国家・州の歴史登録財に指定された。
ウルポ・ヘイアウを訪れる
レンタサイクルでウルポ・ヘイアウへ
クレープ・ノカオイで優雅な朝食を食べ、ターゲットで一通りショッピングを楽しんだ後、私達はレンタサイクルでウルポ・ヘイアウへ向かった。
ホノルルへ続くカイルア・ロード(Kailua Rd.)をひたすら漕ぎ上がっていく。
↑カイルア・ロード。この勾配をひたすら漕ぎ上がる。
カイルアタウンから5分漕いだだけで、右手にはカワイ・ヌイ湿原の絶景が広がる。
前方には神秘的なカネオヘの山も見える。
坂の途中、2つめの教会を過ぎた所で右に曲がる。
すると、閑静な住宅街に入り込む。
本当にこんな所に神殿があるのだろうか?と不安になってしまう。
しかし、住宅街の中をカイルア・ロードをUターンするように進んで行くと、聖地ウルポ・ヘイアウが見えてくる!
ウルポ・ヘイアウに到着!
ウルポ・ヘイアウは巨木に守られるようにして佇んでいた。
↑ウルポ・ヘイアウのサイン
↑まるで天空の城ラピュタに出てきそうな立派な木
↑平らに積まれたウルポ・ヘイアウの石。本当にはるばるクアロアから旅して来たのだろうか?
↑約200年の間放置されていた石積みは、そこここが崩れてその荒廃の様子が伺える。
↑石碑にはレイやタロイモなどが供えられていた。
カワイ・ヌイ湿原を見渡す神殿。
言い伝えの通り、夜にはこの正面に北極星が見えるのだろうか?
聖地ウルポ・ヘイアウ。
事前の勉強をしないで訪れれば、単なる石積みの廃墟にしか見えないかもしれない。
しかし、その伝説と歴史を知った上で訪れたなら、きっと古代ハワイの人々に想いを馳せ、マナを感じることができるかもしれない。
2018年8月 7泊8日ハワイ旅行
1日目 カイルア滞在(バケーションレンタル)
- Uberを利用してホノルル空港→カイルアへ
- カイルア ホールフーズのデリでランチ
- Airbnbで手配した宿泊先へチェックイン
- カイルアビーチまで地元散歩…からの花粉症発症!?
- 夕暮れ時のカイルアビーチと、やっておけば良かった楽しみ方
- 人気店ウアヒ アイラン ドグリルで絶品ハワイ料理
2日目 カイルア滞在(バケーションレンタル)
- ブーツ&キモズでメニューを間違える痛恨のミス!
- カイルアのレンタサイクル3店舗を比較→自転車GETでロコ気分
- ラニカイビーチでシュノーケリング
- $10未満でボリューム満点ランチができるFatboy’s
- カイルア ファーマーズマーケットで夜ご飯
3日目 カイルア滞在(バケーションレンタル)
4日目 ワイキキ滞在(アロヒラニ・リゾート)
- ハワイ最大のローカルの祭りMade in Hawaii 2018
- ハワジュ:お手頃価格で素敵なバングルが欲しい!→今人気のローカルジュエリーをご紹介
- アロヒラニ・リゾート1Fの「モモサン・ワイキキ」でディナー
5日目 ワイキキ滞在(アロヒラニ・リゾート)
- ハナウマ湾でシュノーケリング
- 至高のルアウ「パラダイス コーヴ」
6日目 ワイキキ滞在3日目(アロヒラニ・リゾート)
- ヒルトン・ワイキキの「マック24/7」で朝食
- オアフ島一周ツアー
- ヤードハウスでディナー
7日目 ワイキキ滞在4日目(アロヒラニ・リゾート)
- 「デュークス・ワイキキ」で朝食
- ロイヤルハワイアンセンターでフラレッスン
- カラカウア通りをアラモアナまで散歩
- アロヒラニ・リゾートの空中バーで食前酒
- マヒナ・アンド・サンズで最後の夕食
8日目 帰国日
- アロヒラニ・リゾート→ホノルル空港へ
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