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【薬剤師さんに聞いた】抗がん剤による口内炎の予防法

胞状奇胎・侵入奇胎
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口内炎の恐ろしさ

胞状奇胎から侵入奇胎へ進み、まさかの抗がん剤治療へと至った今年。

「抗がん剤と言えば脱毛」というイメージがあったが、私を一番苦しめたのは口内炎だった。

私の治療に使われた抗がん剤はMTX(メトトレキサート)という、葉酸の生成を抑える代謝拮抗剤で、重度の口内炎を引き起こすこともある、と、治療前から薬剤師さんから聞かされていた。

私は口内炎と聞いた時、口の中にプチッと出来る小さなおできが、少し多めに出来るのだろう、ぐらいに思っていた。

しかし、そんなもので済むような可愛らしいものではなかった。

いざ投薬が終わってみると、その翌日から口の中がブヨブヨに腫れ上がり、表面の粘膜が凸凹になった挙句、皮が捲れ、流動食はおろか、最終的には水さえも尋常ではなく沁みるようになり、食事どころか話すことさえできなくなってしまった。

さらに、私の場合はその炎症が喉にまで至った。

唾を飲み込む度にナイフが喉を通っていくような鋭い痛みに襲われ、飲み込む力が弱まり、唾を飲み込んでも半分喉の奥に残り、それが引っ掛かって咳込み、その咳でさらに喉の痛みが悪化していく…

苦しい悪循環に陥った。

さらに恐ろしいことには、口の中をゆすがずに放っておけば雑菌が増殖して口内炎はどんどん悪化し、最悪の場合、口腔内の傷口から入り込んだ雑菌が免疫力の弱った身体に回って敗血症になってしまうと死にいたることもあるらしい。

口内炎、恐ろしや…。

とはいえ、私がいくら口内炎が酷かったと訴えても医師の応対はいたってドライで、うがい薬を処方する程度だった。

まあ仕方が無いのだろうが、恐らくどんなに口で説明しても、この辛さは自分で経験してみなければ分からないだろう。

医師も一度は体験してみて欲しいところだ。

医師に変わって真摯に対策の相談に乗って下さったのが、化学療法センターに常駐していた薬剤師さんだった。

薬剤師さんは、口内炎の症状を少しでも和らげるための予防法や、出来てしまった後のケアの仕方などをとても丁寧に教えて下さった。

この薬剤師さんから声をかけて頂いたのは、最後の4クール目の投薬時だったので、もっと早く出会えていたら良かったと思う。

もしかしたら私のように医師の対応がドライで、口内炎と孤独な闘いを強いられている方がいらっしゃるかもしれないので、ここでは薬剤師さんに教えて頂いた口内炎のケアの方法を残しておきたいと思う。

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抗がん剤による口内炎のケア(予防編)

1. 口腔外科による口腔ケア

まずは投薬開始前、投薬初期の口腔内が元気なうちに、口腔外科で専門の口腔ケアを受け、口の中をピカピカにしておくことが大切だ。

普段の自分の歯磨きでは落ちない歯垢や歯石は、腐敗し、口内炎を酷くする要因になるという。

私の場合は病院の方で自動的に投薬初日に口腔ケアを入れてくれていたが、病院によってはそんなことはしてくれない所もあるかもしれない。

なので、自分から積極的に口腔外科に口腔ケアの予約を入れてもらえるように頼むことをお勧めする。

2. 低刺激の口腔セルフケア

投薬開始2〜3日目あたりで、痛みは無くとも口の中に潰瘍が出来始めるらしい。

なので、投薬開始と同時に口の中のセルフケアを始める。

この予防の際のセルフケアは、具体的には以下となる。

  1. 刺激の強い食べ物・飲み物を避ける(熱いもの、酸っぱいもの、辛いもの、その他香辛料など)
  2. 低刺激の歯磨き粉へ変更する
  3. 低刺激の歯ブラシへ変更する
  4. 3食毎に歯磨きをする
  5. 2時間おきにうがいをする

a.刺激のある食べ物

国立がんセンターが「がん治療と口内炎」というガイドラインを公開しているので、一度目を通しておくと良いと思う。
https://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/odjrh3000000purk-att/203.pdf

b. 低刺激の歯磨き粉

通常の歯磨き粉は発泡洗浄剤などが使用されており、抗がん剤で弱った口には刺激が強いので、避けた方が良いらしい。

そこで薬剤師さんに勧められたのは「ペプチサル」というブランドの低刺激歯磨き粉だ。

↓薬剤師さん推奨の低刺激歯磨き粉

通常の歯磨き粉に比べれば歯を磨いた後のピリッとした爽快感は無いが、磨き終わると通常の歯磨き粉よりも歯がツルツルになったような気がする。

このほんのり優しい清涼感が、投薬中で吐き気がする時にはツラいこともあったが、口内炎が現れ始めた時、普通の歯磨き粉では稲妻がほとばしるような痛みを感じるのに対し、この歯磨き粉は全く痛まない。

この歯磨き粉を教えてもらうまで、私は頑張って刺激に耐えて市販の歯磨き粉で歯を磨いていた。

沁みるのも、消毒液のような感覚で雑菌を殺している証拠だと思っていた。

だが、薬剤師さんによれば、刺激=口の中を傷つけていることになり、刺激を感じる行為は一切NGなのだという。

c. 低刺激の歯ブラシ

薬剤師さんによれば、「毛先が柔らかくて平たく、子供用サイズの歯ブラシがお勧め」とのことだ。

私は家にあった子供用サイズの歯ブラシを使っていたが、それでもまだ毛先が硬くて痛かった。

もっと刺激の少ない柔らかい歯ブラシをドラッグストアに探しに行ったものの、パッケージの説明ではイマイチ分からず断念してしまった。

第4クールの途中に薬剤師さんから頂いた口腔ケア用品のリーフレットには専用の口腔ケア用歯ブラシも載っていた。

毛先が非常に柔らかい、子供サイズの歯ブラシのようだ↓

子供用のウルトラソフト歯ブラシ↓

出来れば治療開始の時点からこの存在を知っておきたかった。。

d. 3食毎の歯磨き

口の中の食べかすは雑菌の増殖を促すため、口腔内を常に綺麗に保つことで口内炎の症状を軽減することができるらしい。

3食のみと言わず、完食した場合はその後にも必ず歯磨きをするように心がける。

e. 2時間毎のうがい

どんなに綺麗に歯を磨いても、口の中の雑菌は2時間で元通りの数に回復してしまうのだそうだ。

従って、投薬中は三食の後の歯磨きに加え、2時間に一度うがいをすることで雑菌の数を抑える必要があるようだ。

4. クライオセラピー ※筆者独自で実践

クライオセラピー については薬剤師さんの指導ではなく、私が自分で情報を調べて実践してみた結果なので、興味の無い方は読み飛ばして頂ければと思う。

クライオセラピー とは

がん化学療法時におけるクライオセラピー(冷却療法)とは,薬物投与開始5分前から30分間程度氷片を口に含み,口腔内を冷やす方法である.口腔内を冷却することで末梢血管を収縮させ,抗がん剤が粘膜細胞に達する量を減少させる.
参考:薬学用語解説より

つまり、抗がん剤投与前後に氷を口に含んで口の中を冷やすことで口の中の血流を減らすことで、口の中に回ってくる抗がん剤の量を抑えるのだ。

抗がん剤が引き起こす口内炎には2つの要因があり、1つが抗がん剤の直接的な粘膜損傷で、もう一つが白血球のうちの好中球が減って来る際に口の中の細菌を抑えられなくなり増殖してしまうことによって引き起こされる口腔内感染である。

参考:がんサポート「抗がん剤、放射線治療の副作用」

ということなので、クライオセラピー を行うことによってこの直接的な粘膜損傷を軽減できると考えて良いだろう。

血中濃度が瞬間的に上がって下がるような5-FU(フルオロウラシル)のような抗がん剤には有効なようだ。

だが、メトトレキサート(MTX)には効果が無いと言っている医師もいる。

以下は飯塚病院血液内科の先生のブログだが、クライオセラピー 自体の効果は認めつつも、MTXの場合は効果は得られなかったと記載している。

『気休めとは言わせない?クライオセラピーの話。』
こんにちは。卒業生Tです。 みなさん、クライオセラピーってご存知ですか?日本語訳すると「冷却療法」で、血液内科領域では「化学療法中に氷とか口に含んでもらうこと…

その理由は「MTXは半減期が長いから」ということらしい。

薬剤師さんにもクライオセラピー について訪ねてみたが、同様の回答が返って来た。

MTXでのクライオセラピー は本当に効果が無いのか?

そうすると「なんだ、効果無いのか」と諦めてしまいそうだが、私は未だ納得いかなかった。

半減期が理由なら、30分と言わず、MTXの血中濃度が下がるまで冷やし続ければ効果があるのではないか?

とにかく実践してみることにした。

まずはMTXが、筋肉注射されてからどれくらいで口腔内に到達し、は血中濃度がいつピークに達するのかを知っておく必要がある。

MTXの医薬品インタビューホームで、以下のような情報を見つけた。

腎機能が正常な悪性腫瘍患者延べ 98 例にメトトレキサートの 5、10、25、50mg を単回静脈内投与した。投与後のメトトレキサートの血中濃度は、投与 1~2 時間後をピークに徐々に減少し、投与24 時間後で、いずれの投与量でも 5.5×10-8mol/L 以下になった。また、同時に測定した尿中排泄率は、投与後 4 時間で平均 65%、24 時間で平均 90%あるいはそれ以上であった(米国)。

つまり、注射後のMTXの血中濃度は投与後1〜2時間でピークに達し、4時間後には65%が排出されるようだ。

薬剤師さんの話によれば、筋肉注射の場合、全身に回り始めるまでの時間は少なくとも10分〜15分ほど要するということだ。

では、本来は投与5分前〜投与後30分間のところを、投与直後〜2時間の間、口の中を冷やしていれば、それなりに効果があるのではないか?

私が実践したMTX向けのクライオセラピーの方法

以下は私が実践したクライオセラピー の方法である。

  • 前日に大量の氷を作っておき、加えて500mlのペットボトルにも水を入れて冷凍庫に入れて凍らせておく
  • 当日の朝、保温ジャー目一杯氷を入れ、凍らせたペットボトルと一緒に持参する
  • MTXの注射直後から氷を口に含み始める
    ※氷は両頬の裏に当てられるよう、2つずつ含む
  • 無くなったらすぐに次の氷を含む
  • 投与後はロビーの待合室で30分間、氷を含み続ける(ジャーの中身が無くなるまで)
  • その後は定期的にペットボトルの氷水を口に含みながら帰る
  • 帰宅後は残りの時間まで口の中を冷やし続ける

保温ジャーについてだが、私はこのようなお弁当用の保温容器↓を買って持っていった。
氷運びに便利なお弁当用保温ジャー↓

この容器一杯に氷を詰めると約40分程度の量が入るので丁度良かった。

移動中はいちいちこのジャーの蓋を開けて口の中に放り込むのは難しいので、ペットボトルの氷水も併せて持っておくと便利だった。

クライオセラピー の効果と改善点

私が実際にクライオセラピー を実施してみたのは第3クールの投与期間だ。

しかし、実はこの通常のクライオセラピー がMTXに効果が無いというのは、投与2日目あたりに気づいたため、2日目までは通常の方法で実施していた。

なので、上記のMTX用のクライオセラピー については、3日目以降の実施となる。

完璧な方法で実施できた訳ではないが、壮絶な状態となった第2クールと比較し、第3クールでは明らかに口内炎と喉の痛みが軽減した。

私としてはMTXでもクライオセラピー の効果はあった

ように感じる。

ただし、反省点もあった。

  • 味の無い氷や氷水を長時間口の中に含み続けるのは辛い
  • 冷たいものを大量に胃の中に流し続けるため、胃腸への負担も大きい
  • 両頬は冷やしていたが、舌の裏や歯が当たる唇の裏を冷やすのを失念していた

という点である。

私は元々は氷を舐めるのが結構好きな方ではあったのだが、流石に5日間長時間に渡って氷やら氷水やらを口に含み続けていると、この無味無臭の味に吐き気を覚えるようになってしまった。

また、冷やしていた両頬や喉の症状は大分軽減された一方で、全く氷を当てていなかった唇の裏や舌の裏が痛んだおかげで、食事や水分補給は相変わらず困難になってしまった。

4クール目には体が氷を受け付けなくなったので、コンビニでグレープフルーツ味のアイスBOXを買ってみたが、これはなかなか良かった。(しかし猛暑のため翌日以降売り切れてしまった。。)

効果はあるにはあったが、氷を口に含み続けることによる弊害もあったため、第4クールではほぼ実践できずに終わってしまったのだった。

効果的かつ負担の少ないクライオセラーピーの方法は?

とはいえ、第4クールでは再び重篤な口内炎に襲われ、クライオセラピー を実施しなかったことを悔やんだ。

何か良い実践方法は無いのだろうか?

すると、東京医科歯科大学の論文で造血細胞移植で抗がん剤を投与している患者を対象とした口腔ケアについて書かれた論文を発見した。

MTXを投与した場合の口腔ケアの一環としてクライオセラピーの実践方法が記載された箇所があるので、以下に紹介させて頂く。

MTX 投与時にはクライオセラピーにより,口腔底部分を冷却パックで30分間ほど冷却し,口腔内もクラッシュアイスやコンニャクゼリーを冷凍したものを3分割し,舌下・両頬粘膜と耳下腺開口部付近に留置しクーリングを行い,口腔粘膜障害の重症化を防止する。

参考:

IRUCAA@TDC : 造血細胞移植患者の口腔ケアとその意義

これによると、口の中だけではなく、顎の下からアイスノンのようなもので冷やすのも効果的なようだ。

さらに氷が辛ければ凍らせたこんにゃくゼリーでも良いようだ!

これなら美味しいので続けられそうだ。

それもただ舌の上でナメナメしているのではダメで、きちんと冷やす箇所も考えて配置しなければならない。

(私としては、唇の裏も冷やしておくことをお勧めする。)

このアイスノン+こんにゃくゼリー法、私の治療中には探し出すことが出来なかったのだが、もし抗がん剤治療で口内炎に悩まされている方がいらっしゃれば是非試してみて頂ければと思う。

 


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