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侵入奇胎の闘病記 | 6. 抗がん剤治療と仕事の両立

胞状奇胎・侵入奇胎
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不本意ながらの休職

初めは仕事を休職する気は無かった

専業主婦も独身キャリアウーマンも兼業主婦も、全て体験した今の私にとって、仕事は大切なものだった。

大切にするべき家庭が基礎にあり、社会とも繋がり、自分の能力が評価される場がある。

どちらを失っても、自分の精神バランスを大きく崩す結果になることを、私は身を以て知った。

そして、今期は責任のあるポジションを任せてもらっていたこともあり、それを放棄して休んでしまうわけにはいかなかった。

それに、病院からの話では、メトトレキサート(MTX)の投薬治療ではそこまで深刻な副作用が出ることは少ないと聞いていたし、他の方のブログでも普通に仕事を続けられている方が多いようだった。

だから私も、抗がん剤治療に入るからといって会社を休職する気は、毛頭無かった。

人事からの休職提案

第2クールの副作用と戦いながらも仕事を続けていた私に、私の勤怠記録から入院していたことを知った会社の人事部から、私が就業困難な状態なのではないかと、確認の連絡が来た。

私の会社は、リモートワークを推奨している上にコアタイムにもそこまで厳しくなく、規定労働時間を満たし、きちんとパフォーマンスを出せてさえいればあまり細かいことは言われない。

反面、私が転職組のせいもあるが、年次有給休暇の日数が少ない。

今年分の有給は、年末の夫の実家への里帰りのために死守しなければならなかった。

なので、第1クールの時は入院の間も病室で普通に仕事をしていた。

むしろ病気との孤独な戦いの中で会社のメンバーと繋がって仕事が出来ていたおかげで気が紛れていた部分も大いにある。

そんな中、人事部のEさんから連絡が来たのだ。

Eさんは、胞状奇胎が判明してから侵入奇胎に発展し、抗がん剤治療に入ったこれまでの経緯や、第2クール中の私の体調などについて詳細にヒアリングを行った。

Eさん:「Luiさんの状況を伺っていると、通常通り業務を遂行するのは困難のように思えます。お仕事のことも心配されていると思いますが、Luiさんのご病気は、妊娠由来の疾病であることから、母性健康管理休職の取得が可能です。休職された場合、この期間のパフォーマンスは評価対象にならないので、お休みされていたことで評価が下がるような心配をされる必要もありません。休職期間は無給になりますが、健康保険組合から傷病手当金が出ます。」

自分の会社に母性健康管理休職などという制度がある事自体、知らなかった。

この親切な提案が有難いと思う一方、いくら評価に響かないとはいえ、自分の履歴書に映えそうな現在の業務を放棄してしまうことに、戸惑いを隠せなかった。

私が即答出来ないでいると、

Eさん:「これはあくまで人事としての提案ですので、まずは主治医の先生に相談されてみてください。結果、休職した方が良い、との診断になった場合は、診断書をご提出ください。それをもって人事部としての措置を取ります。」

休職か、仕事を続けるか。苦渋の決断

現在のプロジェクトを続ければ、間違いなくグローバルで通用する経験が身に付くだろう。

私の夫は、この秋からイタリアで働くことになっている。

私も当初は一緒に付いて行く予定だったが、今回の侵入奇胎の発症によって、寛解後も半年はhCG値の経過を観察してから夫を追うことになった。

私はイタリアでも働くつもりでいた。

前の夫の仕事の都合で海外の駐在妻を経験したことがあった。

日がな一日、近所の子ナシ主婦友達とカフェ巡りや習い事三昧な日々を送っていたあの生活が、私を腐らせた。

同じことを繰り返してはいけない。

そこで無駄にしてしまったブランクを埋めるためにも、自分の履歴書をリッチにしてくれる経験は貪欲に集めることは、今の私にとって第一優先事項なのだ。

2ヶ月だって無駄にできない。

しかし…。

私の精神力が弱いのか、それとも本当に私の副作用が他の人に比べて強いのか、第2クールに入ると、体調の悪さのおかげで、仕事に集中できる時間が格段に減ってしまった。

投薬期間中は、投薬のために通院していた時間も含めて夜まで働きたいが、怠さや頭痛、吐き気が邪魔をして中々仕事に集中させてくれない。

休薬期間中は、湿疹の痒さへの苛立ち、口内炎や喉の痛みによって確実に集中力が削がれ、さらに食事の時間が普段の4倍かかった。

口内炎を悪化させないために、こまめに歯磨きや口ゆすぎに行かなければならず、その度にもまた仕事が中断される。

頭を使う仕事なのに、肝心の頭が働かない。

通院した分の時間を別の時間帯で働いて補いたくても、自分自身の面倒を見るために時間がかかり過ぎ、仕事に費やせる時間の確保が難しかった。

結局第2クールで通常通り仕事ができた期間は、たったの2日だけだった。

第3クールに入ると、一体仕事できる時間がどれくらい確保できるのだろう?

正直、第2クールが終わった時点で、仕事を続ける自信を失ってしまっていた。

主治医の判断?

人事部からの電話があった翌週、第3クールの投薬初日に、その日の担当医に相談することにした。

会社から、就業状況が困難である状況か、治療期間はどれくらいになりそうか、などの診断を求められていることなどを相談した。

すると、

担当医:「診断書が必要なら、1階受付で申請書を書いて頂いて手続きして頂ければ出せますよ。」

予想の斜め上からの回答だった。

…診断書って、そんな事務的に出してもらうものなのか?

私が想像していた診断書というのは、主治医が副作用の状況を見て、

「この状況で仕事を一緒に続けるのは辛いでしょう。この調子でいけば、○ヶ月〜○ヶ月で寛解しそうだから、仕事は休んで治療に専念した方が良いでしょう。診断書を出しますね。」

と出してくれるものではないのか?

腑に落ちないまま1階の受付へ行き、愛想の悪い受付嬢に診断書の申込書を頼むと、無言で一枚の紙をスッと渡された。

いまいち記載の仕方がよく分からないので、受付嬢に質問しようとしたが、無表情ノーリアクションだったので、諦めて自分で解決することにした。

その申込書上で、いつからいつまで休職したいのかも、患者自身が自分で書き込むようになっていた。

つまり、診断書は、主治医が自発的に出してくれるものではなくて、患者が休みたい期間を自分で指定し、医師に書かせるものなのか?

治療期間は流石に自分でもよく分からなかったので、空欄にしておいた。

それくらいは医師の見解を書いて欲しい。

いまいち納得のいかないまま、診断書の料金を支払い、私は病院を後にした。

そして、休職へ…

申請後、1週間半ほどで診断書が届いた。

そこには、こう記載されていた。

化学療法の副作用のため、2〜3ヶ月程度の自宅療養を要するが、経過次第で療養期間延長の可能性がある

なるほど、と思った。

結局、これは医師の判断ではなく、私が指示して出させたようなものになってしまったが、この文面であれば、医師からの指示のようにしか見えない。

こうして、私は呆気なく休職に突入することになった。

 


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