「バツイチはモテる」という話を、皆さんもどこかで一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。
果たしてこれは都市伝説なのか、本当の話なのか。
また、何故モテると言われているのか?
28歳で離婚した私の実体験を元に分析してみよう。
バツイチ女に寄ってきた男達
私が28歳で離婚した時、会社の同期の内の1人が物凄く私に優しくし始めた。
また、会社の上司も私がアラサーでバツイチと聞くと私に興味を示し始め、当時同じプロジェクトだった別の同期も私を頻繁に誘うようになった。
確かに私は仕事後のディナーや週末には常に誰かかしらの男が一緒にいた。
「男にモテる」の定義がただ「男が寄ってくること」であれば、確かにモテていたと言えるかもしれない。
だが後から冷静に思い返してみると、どれも全く空虚な関係ばかりだ。
離婚後に支えてくれた(ように見えた)同期K
私は離婚する直前に再就職を果たし、同時期に入ったメンバーと仲良くなった。
中でもよく話すようになったのが研修で同じ班だった男子Kである。
Kは入社する直前に婚約していた相手の浮気が発覚し、しかも彼女は浮気相手との同棲を選んだという辛い経験をしたばかりだった。
それだけ酷いことをされてもまだ元婚約者に未練タラタラで落ち込む彼を、よく仲間で励ました。
私の離婚が決まったのは、そんな彼が失恋の痛手から回復しつつあった頃だ。
夫の海外出張中に離婚が決まった時、一番最初にした行為はFacebookで自分の名字を旧姓に戻すということだった。
直後に同期や友達から
「ちょっ…どういうこと!?」
「まさか…!?」
とメッセージをもらったが、真っ先に電話をくれたのが彼だった。
「大丈夫!?まともに話せる??」
同期皆で集まって私を励ましてくれた中でも彼は私に電話をかけ、私が寝付くまで電話を繋いでくれていた。
翌日もその翌日も、会社から帰って一人で泣き崩れているところに、彼はタイミングよく電話をかけて来て出張先から戻った週末には会いに来てくれた。
仕事中もたまに「大丈夫?仕事手についてる?」とチャットを送って来てくれる。
生活の地盤が崩れ去り、不安定極まりなかった私は次第に彼を心の拠り所にし始める。
世間知らずな28歳の元専業主婦が頼って来た夫を失った状態は、母鹿を失った生まれたての子鹿のようなものだ。
近寄って来て優しくしてくれる人に、いとも簡単に懐いてしまう。
ある日、同期で集まってカラオケに行った日があった。
同期と騒げば少しは気が紛れるかと思いきや、誰かが私達の結婚式の二次会でかけた曲を歌い始め、その瞬間に私の涙腺が崩壊。
完全なメンヘラだ。
私は非常階段に駆け込んで一人で止まらない涙と戦っていた。
10分経っても20分経っても、私の頭の中で幸せだった元夫との日々が再生されて中々涙が止まってくれない。
そこに彼が心配して様子を見に来てくれる。
「大丈夫?もう、ここを出よう…」
私は言われるがままに頷き、彼が呼んだタクシーに行き先も聞かずに乗り込んだ。
行き先は私の家ではなく、彼の家だった。
結局そこで私と彼は男女の仲になった。
思考が止まった当時の私には、もうこのままなし崩しで彼と一緒になることしか考えられなかった。
が。
ある日を境に、突然彼からの電話が止まった。
私から電話をしても…出ない。
週末も都合が付かず会えなくなる。
そのうちメッセージの返信も来なくなる。
そして私は訳の分からないうちに再び崖の下に突き落とされ、瀕死の子鹿状態となった。
そして女友達と一緒にアメリカへ失恋旅行に出かけた。
…
後日談:
私がすっかり元気になった半年後ぐらいに、突然Kから社内チャットが来た。
「あの時は本当にごめん。別れた元婚約者から連絡が来たんだ。僕の元に戻って来たいって言ってさ。で、僕の家に来ちゃって…メールのやり取りとか全部チェックされているから、中々連絡できなくて…」
つまり、完全無防備だった私は彼にとっては手っ取り早く落とせるメンヘラ女で、重くなったら捨てればいいさ程度のものだったのだろう。
急接近してきた上司A
その一件の後、無事に新しいプロジェクトにアサインされた私に、異様に興味を示して近づいてくる別チームのマネージャーがいた。
上司と言っても、年齢的には私の一つ上である。
Aは表向きにはクールを装っていたものの、Lineや社内チャットで、やたらと「美味しいものを食べに行こう」と言って誘ってくるのである。
初め警戒していた私は、同じチームの女の子も誘って大人数で行くようにしていた。
しかし彼の頭の切れる仕事ぶりに段々と元夫の面影を重ね合わせ始めた私は、次第に二人でご飯に行くぐらいは良いかと思い始め、ある日、誘いを受けることにした。
しかし、自分はバツイチであることを初めに釘を刺しておいた。
Aは嫌な顔をするどころか、逆に「バツイチなの?その歳で?」と興味津々という反応をして来た。
そのうちその上司とは仕事中は社内チャットで仕事の愚痴を言い合い、帰ってからはLineで話し、週に1,2回はディナーを食べに行くようになった。
別に付き合おうと言われた訳でもないが、週に1,2回のディナーは定例行事となった。
そうしているうちに気が緩んだある日、お酒を飲み過ぎた私は彼の家にお泊まりする。
それからというもの、彼に泊まりに来るように呼び出された日は、一度家に帰ってシャワーを浴び、夜な夜なタクシーで彼の家に向かうようになった。
正直、彼の存在は私の中で大きくなりつつあったものの、好きかと聞かれるとよく分からなかった。
だが寂しさを紛らわせてくれていることは確かだった。
会う頻度はそこらの社会人カップルよりも格段に多かったし、何より彼の束縛は凄かった。
仕事中に私のスマホにLineが入れば、遠くの方からそれを目ざとく見つけて
「それ、誰?」
と社内チャットで送って来た。
週末に彼が提案して来た日に予定があると言うと、
「誰?男?」
と聞いて来て、友達と遊んでいる最中にも電話をかけて来たり、頻繁にLineを送って来たりした。
今思い返せばゾッとするような束縛男だが、当初の私には「見守られている感」があり、この束縛が一種の快感だった。
そんな関係性が続いて数ヶ月経った時、彼から「温泉に行こう」と提案が来た。
彼の家以外での初めてのお泊まりの提案である。
ここで私はこの妙な関係性をはっきりさせようと思い、思い切って彼に
「私達って付き合っているんですか?」
と聞いてみた。
すると彼は、
「いや、付き合ってないでしょw」
といけしゃーしゃーと言ってのけた。
これに相当ショックを受けた私は、
「私、付き合ってもない人と温泉なんか行きたくありません。」
と言って帰ろうとした。
すると彼は、
「まあまあwまだ俺の中でも覚悟できないっていうか。ほら、バツイチっていうところとかwもう少し時間をかけてもいいんじゃない?」
とか言って来た。
興ざめである。
この日以降、私はA以外の男からのデートも積極的に応じるようになり、どんなに彼がデート中に妨害の電話やLineをかけてこようが、気にせず無視をすることにした。
…
後日談:
どうしても会いたいと言うので、その後、随分経ってからAの家に一度だけ泊まりに行ったことがあった。
しかしその翌朝、私は見てしまったのだ。
台所の洗いカゴの上に、明らかにペアカップと思われる色違いのカップが干してある所を。
「…彼女がいますね?」
と聞いた私に、彼は答えた。
「まあ、いるんですけど、彼女は美人じゃないんですよ。はっきり言って。たまには綺麗な人とも会いたいじゃないですかww」
とんでもないゲスだった。
上司の友人かつ仕事仲間Y
実はこの上司に連れられて行った彼の友人の集まりで出会った男性で、Yという人がいた。
Yは上司と同じく、年齢は私の一つ上で、上司とは仲良くもあり、ライバル関係でもあった。
冷静沈着タイプの上司Aとは異なり、彼はヤンチャっぽく、日本人には珍しく情熱的なタイプだった。
Yも初めて会った日以来、私をよく飲みに誘ってくれるようになった。
丁度上司からの「いや、付き合ってないっしょw」発言をされた頃でもあり、彼の誘いに乗って飲みに行ったり、ディズニーランドへデートしに行ったりもした。
Yにも初めにバツイチであることを告白したが、その反応は
「まあ、子供がいないならいいんじゃない?」
程度の感じだった。
Yとのデートは本当に楽しかった。
久しぶりに妙な駆け引きに緊張することもなく、純粋に楽しませてくれた。
初めの頃は上司Aへの当てつけのためにデートしていたが、段々とYに惹かれて行くようになる。
私と上司Aの関係が、Aの友人である彼にバレないか不安になったが、よくよく話を聞いてみると、あまりお互いの恋愛話はしないらしい。
YはAに彼女がいるかどうかさえ知らないのだという。
「でも、多分彼女なんかいないんじゃない?女っ気なさそうだしw」
とのことだった。
確かにあの上司Aは完全秘密主義なので、そういった情報は例え親友にさえ漏らさなそうだ。
そこで安心していた私だったが、Yの存在が私の中で大きくなりつつあったとある日から、突然連絡が来なくなってしまう。
Lineの返信が来ない。
何があったのか心配になった私は、彼と共通の友人に彼の様子を聞いてみると、
「あ〜、なんか、彼女か何かに裏切られたとかなんとか言って塞ぎ込んでるらしいぜ。」
とのことだった。
…彼女?裏切られた…?
何のことだかサッパリ分からなかったが、段々と嫌な予感がし始める。
そういえば、最後に会った日の翌日に上司と飲みに行くと言っていた。
…まさか、Aが私のことをリークしたか…?
あるいは、本当に別の本命の彼女がいてその人に裏切られたのか…
結局Yとはそれ以来連絡がつかなくなってしまった。
Yと連絡がつかなくなってしまってからしばらくして、上司Aから「どうしても会いたい」と連絡が来て、↑上記で書いた後日談のようなことになったのだった。
結局、私はゲス上司Aに振り回された結果、一兎も得ない形で終了してしまった。
離婚しかけだった別の同期S
一方、同じプロジェクトに、研修中はほとんど話したことのない同期のSがいた。
チームは全く別だったのだが、女っ気の無いプロジェクトの中で私がしばしばウワサに出ていたようで、チームメンバー達に頼まれて私をたまに飲みに誘って来た。
Sも当初、全く家事をしない嫁と離婚したがっており、ほぼ別居状態のようだった。
私がバツイチだと聞くと、彼はよく私をのみに誘い出して愚痴ったり相談をしてくるようになった。
彼と奥さんとの間には子供がいたが、既に愛情は無いらしい。
彼らはいわゆる「できちゃった婚」で、結婚当初からあまり愛が無かったのだという。
妻は金銭的な理由で現在は離婚を拒んでいるという。
Sは奥さんを抱く気にはなれず、風俗に通って発散しているらしい(爆)。
気づけば週に一度くらいのペースで彼の愚痴を聞くようになっていた。
しかし、年末も近づいたある日、彼から嬉々として報告が来る。
「嫁が働き口を見つけたから、やっと離婚できる!」
それは良かったね!と言うと、次に飛び出て来た言葉は
「めっちゃ好きだ。俺と付き合ってくれる?」
だった。
たまげた私は、「う…うん、離婚できたら…ね」と言ってしまった。
正直Sのことを恋愛対象として見てはいなかったし、相談に乗りつつも無責任な男だとも思っていたので、本気ではなかった。
しかしこの時は例の上司Aの件で腹わたが煮え繰り返っており、彼氏の一人でも二人でも作って見返してやろうと言う、不純極まりない考えからこんな返答が出てしまったのだった。
それからSはなんと私の家の近所に家を見つけて引っ越して来た。
奥さんの家族とも離婚の話し合いが順調に進んでいると言っていた。
そんな中で彼は、
「せっかくの年末だから、一緒に旅行行こうよ。」
と言って来た。
私は離婚してからじゃなきゃ面倒なことになるから嫌だと言ったのだが、結局彼は半ば強引に飛行機を取ってしまい、旅行に出かけることになってしまった。
旅行先で彼は「本当に楽しい。何年ぶりかわからない。」と嬉しそうにしていた。
私は(これは世間的に言えばまだダメなヤツじゃん)と思いながら内心ハラハラしていたが、幸い、酒に弱い彼は私を押し倒した瞬間に酔い潰れて寝てしまったので、未遂に終わった。
気乗りのしない旅行から帰って来て数日経った頃、彼から「やばい、向こうの家族とモメ始めた。」と言う謎のメッセージが入り、またしばらく音信不通となった。
この3ヶ月後くらいに「無事に離婚成立した!」と連絡が来たのだが、私の方はすっかり興ざめしてしまい、そのメールには返信しなかった。
「バツイチがモテる」の実態は「ハイエナホイホイ」
バツイチ女は「ハイエナホイホイ」
お分かり頂けただろうか。
「モテる」の定義=「自分から行かなくても男が次々と寄って来る」とするなら、答えは「モテる」で良いかもしれない。
だがそれは喜ばしいことではない。
「バツイチ」と聞いて興味を示す男は、恐らく貴方を幸せにしてくれるような男性ではない。
ある男は、普段自分が手を出さないタイプの獲物をつまみ食いしてみるチャンス!と、
ある男は「バツイチ女なら多少ぞんざいに扱っても良いだろうw」」と、
ある男は「バツイチ女」への単純な興味から、
さも善人のように近づいて来る。
質の悪い男との付き合いは、貴方自身の質を落とす
もしも貴方が普段付き合うようなタイプではない男性が寄って来たら、要注意だ。
それは貴方が弱っているのを嗅ぎつけたハイエナ男達であり、決して貴方を助けるために駆け付けてくれた王子様ではないからだ。
「失恋の痛手は新しい男で」なんて言葉があったりもするが、痛手を負っている場合は冷静な判断ができないので、こっちが遊ばれて終わるだろう。
私が上で挙げた4人は、今の私であれば確実に恋愛対象外のタイプである。
そして恐らく彼らもそれが分かっていて近づいて来たのだ。
「お互い普段付き合わないような相手とちょっと楽しんでみようよ、ね?」
と、そんな軽い気持ちであり、重い貴方は、いつか捨てられてしまうだろう。
幸せでない付き合いに時間を費やせば費やすほど、貴方の「女としての気品・価値」は下がっていき、本当に素敵な男性から遠い女になっていってしまう。
間口をガバガバに広げている女は魅力的ではない。
しっかり気品を保ち、ハイエナを振り払う強さを出来るだけ早く身に付け他方が良い。
メンタルが弱っている時は同姓に頼るに限る
どうしても男性の温もりが恋しくなったら、女友達に泊まりに来てもらおう。
私は普段はあまり女友達と群れるタイプではなかったが、友達に頼んで取っ替え引っ替え私の家に泊まりに来てもらったり、旅行に連れ出してもらった。
女友達は、友達が傷付いた時はビックリするほど優しくしてくれるものだ。
リアルな友達がいなければ、twitter上で「寂しい!」と毎日30回叫んでいれば、きっと誰かが話しかけて来てくれるはずだ。(私もよくtwitterをパトロールしている)
彼女達は、ハイエナ男などよりは数倍も貴方の癒しになってくれるはずである。
心の傷が治った時に、再び貴方の方から王子様を狩りに行けば良い。
いつまでも「ハイエナホイホイ」を続けていれば、永遠に幸せはやって来ない。
…と、これが実際に私の個人的な「バツイチはモテる」という都市伝説の見解である。